ギリシャに続くのはどこの国か・・・?
昨年5月のギリシヤに次いで、11月にはアイルランド、今年4月にはポルトガルが欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に資金支援を要請した。

これにより、ユーロ圏に属する17力国のうちの3力国、域内で合計6%強の経済シェアの国々が財政支援下に入ったことになる。これを日本の県内総生産のシェアに置き換えると、新潟・広島・京都の3府県を、残りの都道府県と国際機関からの融資で支えているイメージだ。
支援を要請した3力国は、EU・IMFと約束した厳しい財政緊縮措置や構造改革プログラムの履行と引き換えに、向こう3年間にわたって財政支援を受けられる。ただ、支援パッケージで提供される融資金額は、財政危機に陥った国が3年間に必要とする財政不足の全額を穴埋めするわけではない。プログラムは、危機国が段階的に市場復帰することを前提に作られており、一部資金については資本市場で自力調達することが求められている。
アイルランドは2012年末にかけ、一部の財政資金について資本市場での資金調達の再開を検討してる。ポルトガルは救済合意直後で詳しい資金計画がまだ公表されていないが、13年以降の段階的な市場復帰を計画しているものと考えられる。だが、計画通りに進むかどうかは不透明だ。
アイルランド 不動産バブル崩壊の後遺症
1 財政赤字膨張の構造
1990年代後半以降のアイルランド経済は、「ケルトの虎の奇跡」と称される驚異の経済成長を遂げてきた。低い法人税率や高い教育・インフラ水準をテコに外国企業を積極的に誘致してきた。そこヘユーロ導入で域内の金融政策は欧州中央銀行(ECB)に一元化。インフレ率の高い同国にとって、一本化された政策金利は景気刺激的な水準で推移した。加えて、為替リスクがなくなったため、ドイツ、フランスなど他のユー'ロ圏国からの資金流入が加速。余剰資金が不動産ブームに火をつけた。
だが、08年、米サブプライム危機を契機に世界的な経済・金融危機が発生。アイルランドの不動産バブルも崩壊、深刻な景気後退に陥った。081-(0年の実質GDP成長率は3年連続のマイナス成長を記録し、危機前に4%台であった失業率は14%台に上昇した。住宅価格はピーク時から4割近く下落し、銀行の不良債権が一気に膨らんだ。
資金繰りの悪化した銀行を救済するために、政府は銀行預金と貸し出し債権の全額保護を決断、大手行への公的資金注入を開始し、不良債権の買い取リ機関(NAMA)を設立した。
だが、その後も不動産向け融資を中心に銀行の貸し出し債権の資産劣化に歯止めがかからない。08年秋の銀行危機の発生以来、銀行救済に費やした公的資金は総額463億7(5兆3700億円)にのぼる。こうした政府による積極介入の結果、銀行破綻は回避されたが、経済規模に比べて大きすぎる銀行セクターの救済費用が政府財政を圧迫。10年の一般政府の財政赤字のGDP比率は32.4%に膨れ上がった。
2 財政赤字への敢策対応
アイルランド政府は、自力での財政再建を断念。昨年11月、EUとIMFに財政支援を求めた。関係の深い英国や北欧諸国からの融資も含め、3年間で総額850億7の支援を受ける。内訳は、政府の財政資金の穴埋めに500億7、銀行救済費用に350億7の資金枠を準備している。
政府は税優遇の廃止・縮小、公務員の削減、公的年金の支給開始年齢の段階的な引き上げなどを通じて、15年までに財政赤字のGDP比率を3%以下に引き下げる計画だ。
3 今後の焦点・課題
アイルランド中央銀行は3月末、大手行の資本不足額が240億?に達するとのストレステストの結果を公表した。その結果通りなら、銀行の資本不足額は支援パッケージの範囲内に収まり、財政再建の見通しは明るくなる。今回のストレステストでは、個別融資の焦げ付きリスクを外部機関が評価、悲観シナリオでのマクロ変数の想定も厳しめに見積もっており、一定の評価ができる。
ただ、悲観シナリオを上回るマクロ環境の悪化や、不良債権が膨らみ続けることで、さらなる資本不足が生まれる可能性は完全にはぬぐえない。経済環境や住宅市況によ昨丿広く改善のきざしが確認されたとき、ようやくアイルランド財政をめぐる市場の不安心理は払拭されるだろう。
銀行部門の資本を強化するだけでなく、資本不足の背景にある新規の不良債権の発生を抑制し、経済・人口規模に比べて肥大化した銀行セクターの段階的な縮小にも道筋をつけなければならない。さらには、不動産・金融セクターに代わる新たな基幹産業の育成も課題となろう。
ポルトガル 新政権の実行力がカギ
1 財政赤字膨張の構造
10年のポルトガルの財政赤字のGDP比率はユーロ圏内でアイルランド、ギリシヤ、スペインに次ぐ4番目、公的債務残高のGDP比率はギリシヤ、イタリア、アイルランド、ベルギーに次いで5番目に高い。
いずれも他の財政不安国と比べ、突出した数字ではない。ギリシヤのように財政運営が著しくずさんだったわけでも、アイルランドのようにバブル崩壊の後遺症に悩まされていたわけでもない。だが、不安定な政治状況と、慢性的な低成長と競争力低下に悩まされていたことが市場に狙い撃ちされた。
ユーロ導入以降、相対的に賃金の安かったポルトガルでは高賃金国にさや寄せする形で賃金上昇が加速。だが、賃金上昇に見合った製品の付加価値の向上に失敗したことで、低付加価値製品の生産・輸出で競合する中東欧諸国などに輸出シェアを奪われていった。また、主要先進国の中で最も厳しい従業員の解雇規制があることも、経済効率を殺ぐ一因となっている。
2 財政赤字への政策対応
政府は昨年5月と9月、財政緊縮策を打ち出した。だが、財政再建は政府の計画通りに進んでいない。
今年の3月には、3回目となる追加の財政緊縮措置に野党勢が猛反発。反対決議案を提出した。これを受け、ソクラテス首相は辞任を決め、議会を解散。4月に政府はEUとIMFに財政支援を求めた。社会民主党、社会党、民衆党の主要3政党は、財政・構造改革のプログラムを約束。5月、3年間で総額780億ドルが支援されることが決まった。
プログラムは、@公務員給与の削減や税控除の廃止など3年間でGDP比10%規模の財政再建、A労働市場改革や規制緩和などの構造改革、B銀行の資本強化など金融システムの安定化が柱となっている。
3 今後の焦点・課題
6月5日に総選挙があり、最大野党の社会民主党が6年ぶりに第1党の座に返り咲いた。社会民主党は第3党の民衆党と連立協議を進めており、コエリョ党首が次の首相に就任することが有力視されている。社会民主党と民衆党が連立を組めば、合計獲得議席は議会の過半数を上回る。財政再建の基本路線で一致する安定政権が発足すれば、今後の財政再建にも弾みがつくと金融市場では好意的に受け止められている。
問題はやはり、政治の弱さと改革の遂行能力だ。ポルトガルの財政悪化は経済パフォーマンスの悪さにも一因がある。為替レートの切り下げが出来ない同国が、競争力を回復するには厳しい構造改革を断行する以外に道はない。新政権は、財政引き締めと同時に、構造改革を行わなければならない。
しかし、それは、短期的には景気を下押しすることが避けられず、国民の不満が噴出するおそれがある。財政引き締めの影響が表れるなか、昨年11月期以降、実質GDP成長率は2四半期連続でマイナス。失業率の上昇が加速するなど、景気には下押し圧力が強まっている。
FXをするなら人気の達人のfx比較サイトで。FX初心者の方も簡単に理解できる。FXは外国為替市場で資産運用をする金融商品です。
スペイン 懸念は地方財政と高い失業率
1 財政赤字膨張の構造
スペインの赤字膨張の構造は、アイルランドと似ている。ユーロ導入により、低すぎる実質金利が景気を刺激、為替リスクがなくなったことから資金流入が加速し、不動産ブームが起きたが、08年のりIマンーショツクでバブルは崩壊した。銀行の不良債権が膨らみ、政府による銀行救済費用の増加によって財政が悪化した。
なかでもスペイン独特の「カハ」という地域に根ざした小規模な貯蓄ヽ銀行が、バブル崩壊以前に、不動産向け融資を積極的に拡大したため、巨額の不良債権を抱えている。このことがスペインの財政・金融状況の最大の懸念材料となっている。
2 財政赤字への政策対応
政府は13年までに一般政府の財政赤字のGDP比率を3%に引き下げる方針だ。中央政府の財政赤字の削減は計画を上回るペースで進んでいる。
中長期的な対応として、年金の受給開始年齢の引き上げを柱とする年金改革案や、従業員処遇の柔軟化や解雇を容易にする措置を盛り込んだ労働市場改革案も打ち出した。また、赤字削減が遅れている地方自治州について、財政健全化へのインセンティブとして、再建計画を達成すれば州債の発行を認めるルールを導入した。
政府はまた、今年2月、銀行システムの強化に関する新たな法律を制定。貯蓄銀行を含む主要銀行に対し、9月末をメドにコア自己資本比率を最低8%、ホールセール(法人取引)市場に資金調達を依存する銀行については10%を確保するように求めた。各銀行は増資やリストラなど自
助努力を前提に自己資本の強化を図る。そのうえで、市場での資金調達が困難な銀行に対しては、再建計画の提出・承認を義務付け、銀行再編基金(FROB)を利用して公的資金を注入する。
3 今後の焦点・課題
スペイン国債の長期利回りは5%台で推移しており、危険水域とされる7〜8%まではなお余裕がある。ポルトガルの支援要請後も、財政不安がスペインに波及する兆しは今のところ見られない。危機伝播のリスクが薄らいでいるのは、2.で述べた各政策が評価されているためだ。
だが、スペインは、GDPでユーロ圏全体の約11%と経済規模が大きく、銀行システムを通じて他の欧州諸国との結びつきが強い。スペインにまで危機が及べば、世界的な金融危機やユーロ崩壊につながりかねない。
スペインの今後の焦点は、@地方政府の財政再建が計画通りに進まない、A5月の統一地方選の与党敗北により、一部地方で前政権時代の財政状況の悪化が明るみに出るおそれ、B住宅価格の一段の調整による不良債権の新規発生と銀行の資本不足の表面化、C失業率が20%台で高止まりするなか、景気低迷が長期化し、社会・政情不安が高まるおそれーの4点だろう。
外国為替市場(FX)の欧州時間は、ギリシャに関する混乱や思惑が市場心理を悪化させる事となり、株価が軟調に推移した事やユンケル・ユーログループ議長が「ギリシャをユーロに留めたい訳ではない。」などと発言した事が嫌気されてユーロが軟調に推移すると、その他の主要通貨やクロス円通貨も値を下げる展開となった。しかし、その後ギリシャが国民投票の実施を回避する可能性が高まったとの報道がありこれが材料となってユーロが一転して買い戻されると、イベント前のポジション調整の動きもこれに加わり、その他の主要通貨も反発する動きを強めるなど、市場ではリスク回避の巻き戻しの雰囲気が強まった。